『  この空の下  ― (3) ―  

 

 

 

 

 

 

 

   ******  新春パロディ劇場  苦手な方 引き返してくださいね  ******

 

 

 カサ カサカサ ・・・ 

 

アルヌール家の中庭で 立派な棕櫚の木が揺れている。

風もないのに・・・ と目を凝らす人がいたら 次の瞬間我が目を疑うだろう。

 ― 揺れている木には すらっとした少年が取り付いていたのだ!

きらり きらきら ・・・ 金の髪が揺れる。

 

「 う〜〜ん !  ああ 昼間にこっそり木を登るって〜 なんて動きにくい〜〜

 もう〜〜っ!   ああ ジャマだわ!  」

少年は癇癪を起こし、纏っているマントをもぎ取ろうとした。

「 あ〜〜ん 取れない! ううう あと ちょっと・・・・ っと

 もうちょっとで ・・・ テラスに手が届く〜〜 」

彼? は 棕櫚の木から身を乗り出しテラスに向かって伸びあがり・・・

 

「 姫さま。  お帰りなさいまし。 」

 

「 へ?? 」

にゅ・・・っと ばあやの福々しい顔がテラスから現れた。

「 ・・・ ば ばあや ・・・・

「 さあ御手を〜  えいやっと  

「 あれぇ〜〜 」

ばあやは太い腕で < 少年 > を ずいっとテラスにひっぱり上げた。

「 ・・・ あ あのぉ・・? 」

「 あらあら お召し物がすっかり汚れてしまいましたね〜 

 すぐに湯浴みなさいませ 

「 え ええ ・・・ あのぉ〜 ばあや 」

「 え〜〜と お湯にはジンジャーの花をお使いになりますか? すっきりしますよ〜

 それともジャスミンにしましょうか 」

「 どっちでも ・・ あの でも  」

「 はい なんでしょう、姫さま ? 」

乳母どのは相変わらず満面の笑みである。

「 あの ・・・ ね  怒らないの? 叱らないの、わたしのこと 」

「 はい? 怒るんですか 

「 だって ・・・ わたし、こんな恰好で邸を抜け出した のよ? 

「 ああ そうですねえ〜 やんちゃな姫さま。

 ま 独身最後のワガママですもの、ばあやは目を瞑りますですよ 」

「  ―  え ?? な なに ・・ 」

「 うふふ〜〜 姫様、明日は花嫁さまですもの。 」

「 ! な なに それ?? わたし 全然聞いてないわ?? 」

「 ほほほ な〜〜んにもご心配なさることはありませんよ 

 なにもかも 母上さまとばあやにお任せくださいませ。 

 姫様はただただその美しいお顔で微笑んでいらっしゃればいいのですよ〜 

 伯爵夫人になられるのですもの♪  」

「 それじゃ 説明になってないわ! 

「 まあまあ ・・・ 伯爵さまは あのエンペラー様ともご縁続きでいらっしゃいますからね〜〜 

最高のご縁ですよ 嬢さま 」

「 そんなこと 聞いてません、 承知もしていないわ! 

 お母様のところに行きます!  お母様〜〜 」

「 ああ お待ちくださいな。 まずは御着替えを そして 湯浴みを 」

乳母どのはもう上機嫌で 姫きみの服を脱がそうとした。

「 やめなさい。 わたし、このままでいいの。 

 お父様とお母様に はっきり伺うわ。 わたし 結婚を承知なんかしてません。」

「 姫さま ・・・ 

姫君は乳母の手を振り払い 部屋を出ようとした。 

「 あ〜〜 お待ちください〜〜 」

 

 ― カタン 

 

「 あらあら ・・・ なにを騒いでいるのかしら? 」

ドアがさっと開き これまた満面の笑みのアルヌール夫人が現れた。

「 ! お母様! 」

「 フランソワーズ。 まあまあ 相変わらずな恰好をしているのねえ〜

 ま 気ままができるのも娘時代の特権ですものね〜  ふふふ  ジャンの

 小さな時とよく似ていますよ 」

「 そ そうですか ・・・ 」

「 ええ ええ。  さ お転婆さんもほどほどにして ・・・

 ばあや、 姫をキレイにしてやってちょうだい 」

「 はいはい〜〜 奥様〜〜  さ 姫さま こちらへ 」

乳母どのが フランソワーズの手を引こうとした。

「 待って。 お母様。 伺いたいことがあります。 

「 はい? なんですか。 」

「 あの! わたしの結婚・・・って 本当ですか。 」

「 え? ああ ・・・ そうなのよ〜〜 伯爵がねえ 一日でも早くって

 おっしゃるの。  明日は吉日でしょう 丁度いいから御式をしましょうって

 お父様が提案なさってね。  姫〜〜 明日には伯爵夫人ですよ 」

「 ! お母様! わたし ! 」

姫君が 母の前に一歩踏み出した時 ―

 

  ―  ドンドンっ ! 

 

部屋のドアが大きく叩かれた。

「 まあ だれかしら。 ここは姫の私室ですよ? 」

「 ほんとうに・・・どこの不躾モノでしょう  ちょっと見て・・・ 」

 

 ドンドンっ !!  音は続く。

 

「 た 大変です 奥さま!  若さまが 」

「 え?  奥様〜〜 なにか妙なこと 言っていますが・・・

 若様がどうかしとか・・・ 」

「 なあに 騒々しい。  え?? ジャンが どうかしたの?? 」

アルヌール夫人の顔色が変わった。

「 開けて・・・ 事情を聴いてちょうだい。 」

「 は はい ・・・ 奥さま。 ただいま・・・ 

乳母は慌てて ドアから滑りだしていった。

「 お母様!  ジャン兄さまになにか ・・・? 」

「 さあ・・・いま ばあやが聞いて来ますよ。 」

「 わたし 直接聞いてきます! 

フランソワーズは マントをとりあげ巻きつけるとドアから駆けだしていった。

「 あ  姫〜〜 」

「 奥方さま ばあやが付いてまいりますです はい 

「 お願いね!  もう〜〜〜 あの娘は ・・・ 」

 

  キ ィ ―  再び姫君の部屋のドアが開いた。

 

「 おい ・・・ 姫はどうした? 」

当家の主人、アルヌール氏が顔を覗かせた。

「 ? まあ〜〜 あなた!  姫ってばまた飛び出していってしまったんですよ 」

「 なにか あったのかい 」

「 それが ・・・ ジャンが揉め事に巻き込まれた とかいう知らせが 」

「 ジャンが? アイツはそんなことはしないだろ? 理知的なヤツだ。

 誤報じゃないのか。 」

「 それを確かめるって。 自分自身の目でっていいまして ・・・ 」

「 ははは ・・・ 姫らしいなあ〜〜 

「 あなた 笑いごとではありませんわ?  明日は伯爵さまがお見えになるのに。

 わたくしとしては 明日結婚式でもいいと思っています。 

「 さあ・・・ それは ・・・ 姫にはちょっと < 合わない > かもな。

 あの伯爵は 」

「 まあ そんなことおっしゃって 」

「 いやいや 私は姫もジャンも心からシアワセになって欲しいのさ。

 家のため ではなく ね。  

「 はあ ・・・   ああ どこまで行ってしまったのかしら 

「 心配はいらない。 姫には剣も馬術もしっかり仕込んだからな 」

「 まあ あなた! 」

「 いいじゃないか。 わたしはあの溌剌とした姫の姿が好きだ。 」

「 姫 じゃなくてあれじゃ 息子ですわ。」

「 うん それもいいなあ 私には二人息子がいると思うとうれしいよ。 」

「 あなた、冗談もほどほどになさいませ。

 姫はいずれは嫁入りしなければならないのですよ。 」

「 それはそうだが・・・ どうせ嫁に出すなら笑顔の花嫁になってほしい。

 姫には好いた相手はいないのか? 」

「 あなた。 家柄をお考え遊ばせ。 アルヌール家の姫に相応しいお相手で

 なければなりません。 

「 わかっているさ。 けれど ― 姫の泣き顔だけは見たくないんだ、私は 

「 それはわたくしもですわ。 」

 

  バタバタバタ −−−−

 

大きな足音が廊下から響いてきた。

「 奥様〜〜〜〜 」

「 あら ばあやが戻ってきましたわ?  どうなの? 」

  バン ッ !  ドアから乳母の君が転がり込んできた。

「 お 奥さまあ〜〜 まあ 旦那様も! はあ はあ ・・・ 」

「 姫は?  ジャンはどうしたというの? 」

「 は はい ・・・・ あのぅ〜〜〜   ひ 姫さまは 」

「 姫は? 」

「 はい 〜〜 姫様は厩にいる一番速い駿馬で飛び出してゆかれました!

 あの真っ黒な毛の立派な馬に・・・馬丁どもの誰も ついてゆけません 〜〜 」

「 まあ ・・・ ! 

「 ほう〜 あのブラック・ビューティを乗りこなせるのか 姫は 

「 あなた。 感心なさっている場合じゃありませんよ。

 ねえ それでジャンは? まさか怪我なんかしてませんよね? 」

「 さ さあ それが ・・・ 

「 一番大事なことですよ?  早く調べさせて 

「 うむ、馬丁長に頼もう。 私が頼んでくる。 

「 お願いしますわ あなた。 」

 

   バンッ !!   姫君の部屋のドアが音を立てて開いた。

 

「 し 失礼いたします、こ こちらだと伺いまして ・・・ 」

「 まあ どうしたというの!? 」

飛び込んできたのは アルヌール家の執事氏だ。

つやつやしたスキン・ヘッドに玉の汗を浮かべ 大息をついている。

「 旦那様 奥様! 若様が〜 

「 ジャンが?!  なにかあったのか?? 無事なんだろうな?  」

「 はい。 若様にお怪我はありませんです。

 しかし あの! シマムラ家の若造の友人が! 

アルベルト様と 剣の果し合いをしたとかで   ・・ い 命を ! 」

「 え えええ???  なんですって? 」

「 街中で剣を振り回すことは禁じられているはずだぞ  」

「 はあ 〜 それが ・・・ どうしてそうなったのかさっぱりわからんのですが。

 ともかく 若様もアルベルト様も 大事ない、とのことです。 」

「 しかし 人死をだしたとあっては。 グレート、ご苦労だがそなたが

 事情を聴いてきてくれないか。 」

「 かしこまりました、旦那様。 すぐに行って参りますです。 

執事氏は 慇懃に会釈をすると部屋を出ようとした。

「 ! まって!  姫が!  フランソワーズも飛び出していったままよ!

 お願い グレート。 姫を護ってやって。 」

「 は はい〜〜 さきほど拝見しましたが 姫様はまるで異国の聖女のようでしたです。  

護衛をジェロニモ Jr. に頼むことにしたします。」

「 そうして頂戴。 ああ もう〜〜 あのお転婆娘が 〜〜 」

「 落ちつきなさい。 姫はきっとうまく切り抜けるだろう。

 少年の形をしているのだろう?  」

「 え ええ ・・・ 」

「 ジャンと一緒なら ― なんとかなるだろうよ。 」

「 だと いいのですが ・・・ 」

「 ふむ。 」

当主夫妻は 顔を曇らせため息を吐き合うのだった。

 

 

 

 ― すこし時間は遡る。

 

ヴェロナの街の広場は 今日も人々が陽気に行き交い賑わっていた。

その人波の中を 頬を紅潮させた青年が友と歩いている。

「 ・・・ おい ジョー。 どうしたんだ? えらく元気じゃないか 

「 え? あ〜  ウン。 えへへ ぼくは今 博愛精神でいっぱいなんだ 」

「 は はくあい???  

「 そうなんだ。 ああ〜 皆を愛したい〜〜〜 」

「 なんだ それは 」

「 えへ ・・・ 人間 幸せだとね、争う気分とかは湧いてこないのさ。

 皆 仲良く〜ってね。 」

「 へえ・・・? 」

広場には 太陽が高く昇るにつれて人出がかなり多くなってきた。

「 なんだか 賑わってきたね 」

「 ああ ・・・ 用心しろよ。 妙な奴らもウロウロしているからな 」

「 え?  あ ・・・? 」

 

   ドン。  ジョーがすれ違った若者の肩が触れてしまった。

 

いや ・・・ 相手がわざわざ近寄ってきたのだ。

「 あ 失敬 」

「 おい〜〜〜 このヤロ〜〜 わざとやったなあ 」

風体の悪い相手は もうすぐに絡んできた。

「 なにを言ってるんだ?  」

「 うるせ〜〜〜〜 おめ〜が肩 ぶつけてきたんじゃね〜か〜 

 おい! こっち向けよ 〜 」

  しゅ ・・・っ!   いきなり拳が飛んできたが ジョーは巧に避けた。

「 おい。 乱暴はやめたまえ。  」

「 〜〜〜〜 こいつぅ〜〜〜〜 

タタラを踏んだ相手は ますます激高しつっかかってきた。

  しゅ。  ばし。  しなやかな手が拳骨を見事に受け止めた。

「 やめろ。 勝負したいのなら 剣で受けてたつぞ。 」

「 ! カテリーナ! 」

「 ジョー。 ここは私が引き受けた。 剣を借りるぞ。 」

「 しかし ・・・ 」

「 生ッ白いおに〜さんよ〜〜〜  串刺しにしてやるぜぇ〜〜 」

チンピラ風のオトコは ふふん・・・・と鼻先でせせら笑った。

「 おら〜〜 行くぜぇ〜〜〜 」

ひゅん。  チンピラは懐から 刃渡りの長いナイフを取りだした。

 

  なんだ なんだ?  試合かい?  あ〜〜 ナイフ! 反則だよね〜

  街中で剣やナイフを振り回すのはご法度だぞ

  危ない・・・こっちに避けて!

 

周囲には人垣ができ 野次馬たちが口々に言いたてはじめた。

「 剣を取れ。 ナイフとはやりあわない。 

「 うるせ〜〜〜 」

ナイフを構え チンピラが一歩踏み出した時 ― 

 

  がし。  その手をがっしり押さえた手があった。

 

「 ! なにすんだ??  !!  うわあ あ   アルベルト! 」

調子にのっていたチンピラの顔が 一挙に凍り付いた。

「 その下品な刃物をはなせ  

「 な な なんだ  と ・・? 」

たった今までの勢いはどこへやら チンピラはがくがく震えだした。

 

  アルベルトよ!  アルヌール家の遠縁の剣士ね!  剣の名手だぜ

  誰も彼に勝てた剣士はいないのよ

 

遠巻きにしていた人々の間から 囁きがこぼれてくる。

 

「 アルベルト。 ここは僕が相手になる。 剣の名手にはもったいないよ 」

ジャンがす・・・っと前にでた。

「 ふふん 遠慮するぜ。 それこそアルヌール家の跡取りがすることじゃない。 」

「 しかし 」

「 まあ ここは俺に任せろ。 おい ! 

  ぎろり。 再び アルベルトがチンピラを睨んだ瞬間 ― 

「 〜〜〜〜 わあ 〜〜〜 」

ナイフを振り回していたオトコは 喚き声をあげ逃げていった。

「 ふん。 意気地のないヤツだ 

「 まったくだ。  さあ そこの剣士どの。 わたしと手あわせしよう。 」

チンピラに絡まれていた人物が 静かに口を開いた。

「 は??  俺はレディとは剣を交えんぞ。 」

「 ふん さすがの眼力だな。 しかしわたしの腕までは見通せないらしい。 」

「 なんだと? 」

「 カテリーナ。 ぼくが替わるから。 

終始 騒ぎを見守っていた青年がすっと前に出てきた。

「 ジョー。 いやいや これこそ私の仕事さ。

 あちらさんと同じに シマムラ家の若公が手を染めるような事じゃない。

 私に任せてくれ。 」

「 しかし 」

「 さあ そちらの ― 剣士どの? 私が相手になろう。 」

「 ― よし。 レディ 御手合わせ願おう。 我が名は アルベルト・ハインリヒ。 」

「 よろしく。 私は カテリーナ・カルロッティだ。 」

 

 す・・っと会釈をしあうと 二人は剣を抜いた。

チカリ。  昼の光に抜き身の剣が輝く。

 

「 あくまで試合だからな。 」

「 当然だ。 ここは街中だ。 」

「 ふふん ・・・ お手並み拝見とゆくか 」

「 それは私のセリフだ。  いざ 

「 おう! 」

 

  シュ …ッ!  カチン ・・・

 

先にはカバーをつけた真剣が 空中で派手に打ち合う。

 

  シュツ シュ  シュ ・・・・!

 

片方が突けば引く すかさず踏み込む。

 おう〜〜  取り巻く群衆から感歎の声があがる。

 

  すごい〜〜  双方とも上手いな!  模範試合みたい〜〜〜

 

「 レディ?  腕前はよくわかった。 ここいらで 」

「 剣士どの。 そうだな。 貴方の腕も大したものだ 」

 す ・・・ 双方の剣が引かれた  ― その時。

 

    バシッ !!! 

 

突然 群衆の中から小刀が飛んできた。 

「 あ!  危ないっ! 」

馬から飛び降りた少年が 黒髪の剣士の後ろに飛び込もうとした  が。

 

     ドス ッ ・・・!

 

一瞬おそくソレは 黒髪の背に突き立った。

「 う ッ !! 」

「 !! だ 誰だ??  うぬ〜〜 さっきの下司だな!

 卑怯ものめっ 

 

  ひゅんッ !!  ジョーはわが剣を抜き群衆の中に突進した。

 

 きゃ〜〜〜 わあ〜〜〜〜   どたどた  ばたばたばたばた 〜〜

 

広場は たちまち蜂の巣を突いたような騒ぎとなった。

「 まてっ ! お前〜〜 さっきのヤロウだなっ  まてっ! 」

ジョーはチンピラを追い詰めると剣を振り上げたが ― 

ぎりぎりのところで止めた。

「 くそぅ〜〜〜 ・・・ !  これでも喰らえっ 」

 ボクッ !!  ジョーの鉄拳がチンピラの顎を捕えた。

「 ぐわぁ ・・・ ! 」

チンピラは吹っ飛びそのまま気絶してしまった。

「 ふん・・・! あとで役人に引き渡してくれ。

 !!! カテリーナ !!! 」

ジョーは 身を翻し友の側に駆け戻った。

 

「 ― ! 」

金髪の少年が ジョーの友人の身体を抱いていた。

「 ! カテリーナッ!! 大丈夫か !!? 」

「 あ あの 今 医者を呼びに ・・・ 」

「 カテリーナ っ !! しっかりしろ! 

ジョーはあわてて友を抱きとった。

「 すぐに医者がくる。 ちょっとの辛抱だぞ! 

「 ・・・ ・・・ 」

カテリーナの頬はすでに生気なく土気色だ。

「 ・・・・ 」

「 な なに? なんだい? 」

震える白い手がジョーの方に伸ばされ 彼はぎゅっと握った。

 

   「 ・・・ ジョー ・・ 私 は  貴方 が ・・・ 」

 

かくん ・・・。 黒髪の頭が力なく垂れてしまった。

「 ! か カテリーナ !  カテリーナ ァ〜〜〜〜〜〜〜〜 !! 

 

   大変だあ〜〜〜  ヴェロナの街の広場で  ―  人死だあ〜〜

 

群衆からまたまた悲鳴にちかい叫びが上がった。

「 ! そ そんな ・・・!  あのお姉さま が・・・! 

 ・・・ ジョーさま ・・・ カテリーナさまのこと ・・・? 」

「 おい ファンか?? 」

後ろからぐい、と腕を引かれた。

「 ? まあ ジャン兄様!?  ご無事でしたの 」

「 ああ 俺もアルベルトも大事ない。 それよりお前 ここから離れろ。 」

「 え どうして?? 」

「 殺人だぞ? 役人がくる。 お前はごたごたに巻き込まれる必要はない。

 すぐに邸に帰れ。 

「 嫌です! わたし ナイフが飛んでくるところ、見ましたわ !

 ちゃんと役人たちに証言します! 」

「 いいから。 お前は嫁入り前の娘なんだぞ?

 ああ ちょうどいい、ジェロニモ Jr. が来た! お〜〜い 

ジャンはぶんぶん手を振ると 群衆を掻き分けてきた巨躯の召使いに妹を渡した。

「 すまん、コイツを無事に邸まで頼む。 」

「 若様 」

彼は深くうなずくと < 少年 > を抱き上げのっしのっしと再び群衆を

分け 立ち去った。

 

   ヴェロナの大公が見えたぞ〜〜  役人たちも来た !

 

 ざわざわざわ〜〜〜  広場には緊張が走り こそこそ逃げ出す連中も出始めた。

 

 

 

  バタン ― !!!

 

姫君の部屋のドアが 音をたてて閉じられた。

「 姫さま〜〜〜 」

「 言ったでしょう?! 頭が痛いのっ  誰も来ないでッ 」

「 お具合が優れないのでしたら お薬を 」

「 いりません、静かに寝れば治るの。 誰もこないで。 」

「 ばあやも入れていただけないのですか 

「 ・・・ ひとりにして お願い ばあや 」

「 わかりました。  明日には笑顔をお見せくださいまし。 

 伯爵さまがお越しになりますから 」

「 ・・・・・・ 」

「 おやすみなさいませ 姫さま 」

乳母の君は しおしおとドアの前から去っていった。

 

 

「 ― もう ・・・ ! 

自室の真ん中で フランソワーズは地団太を踏んでいた。

「 なんとかしなくちゃ!   ― あ あら?? 」

 

  コン ・・・ コン ・・・

 

テラス側の窓に なにかが当たっている。

「 !? だ 誰?? 」

彼女は駆け付け 窓を開いた。

「 しっ ・・・ ぼくです フランソワーズ姫! 」

窓の下の闇の中から 潜めた声が聞こえた。

「 ま まあ  ジョーさま! 」

 

 

 

Last updated : 01,17,2017.          back      /     index    /     next

 

 

********* またまた 途中ですが

激短な上に またまた続きます、すみませぬ〜

コゼロ 未見の方、ごめんなさい〜〜〜